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永石 隆二; 森田 圭介; 山岸 功; 日野 竜太郎; 小川 徹
Proceedings of 2014 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2014) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/10
スリーマイル島原子力発電所(TMI-2)の冷却水喪失事故で発生した汚染水を処理した吸着塔(SDSベッセル)に対しては、残水量、放射線分解による水素の発生、ゼオライトに吸着したCsの分布等が実際の吸着塔を用いて大規模に測定され、その結果は吸着塔のサイズや構造の情報とともに公開されている。本研究ではTMI-2事故で使用した吸着材を用いて、水蒸気吸着挙動等の表面構造の測定、並びに線照射による水素発生の測定といった小規模な試験を行い、そこで得た最新の結果と公開情報をもとに、TMI-2事故での吸着塔内の吸収線量率及び水素発生率の再評価を試みた。本研究で行った評価の手順及び結果は、福島第一原子力発電所事故の汚染水処理で発生する廃吸着塔の内部で起こる水素発生の挙動を把握する上でも重要である。
上塚 寛
最新核燃料工学; 高度化の現状と展望, p.156 - 162, 2001/06
軽水炉燃料のシビアアクシデント時における挙動と概説した。この分野の研究はTMI-2事故以降に各国で精力的に行われた。研究は実験室規模の個別反応試験と研究用原子炉を用いた大規模実験に大別される。これまでの研究によって、UO/ジルカロイ反応や炉心構成材料間の反応について、反応機構や反応速度に関するデータ・知見が、また、燃料温度上昇に伴う燃料集合体の損傷・溶融の進展に関しての知見が得られている。これらの成果は、炉心損傷・溶融解析コードのモデル化に役立てられ反応速度式は解析コードに取り込まれている。燃料からのFP放出に関しては、原子炉を用いた実験例があるが、放出されたFPの質量バランスを正確に評価することは困難であるため、ホットセルでの実験が行われている。
丸山 結; 山野 憲洋; 工藤 保; 森山 清史; 杉本 純
JAERI-memo 08-127, p.269 - 275, 1996/06
TMI-2事故では、大量の溶融炉心が圧力容器下部ヘッドに移行したが、そこで溶融炉心が冷却され、事故が圧力容器内で終息した。残念ながら下部ヘッドにおける、溶融炉心の冷却メカニズムは未だ解明されていない。原研で進めている事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画では、平成8年度より圧力容器内溶融炉心冷却性実験を開始すべく準備を進めている。この実験では、テルミット反応により生成した酸化アルミニウムを溶融炉心模擬物として使用する計画である。熱損失、溶融炉心上部に形成されるフラストの成長速度に関する検討を行い、酸化アルミニウムの適用性、試験体の規模等を定めた。本検討から酸化アルミニウムの適用性を確認するとともに、溶融物の重量を50kg、試験体の直径を0.5mとすることとした。
丸山 結; 山野 憲洋; 森山 清史; H.S.Park*; 工藤 保; 杉本 純
Proc. of Int. Topical Meeting on Probabilistic Safety Assessment (PSA96), 3, p.1367 - 1374, 1996/00
原研の事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画において、圧力容器内溶融炉心冷却性実験を実施している。この実験ではテルミット反応により生成した高温の溶融酸化アルミニウムを溶融炉心模擬物として使用する。これまでに実施した2回の実験においては、30kgあるいは50kgの溶融酸化アルミニウムを、圧力容器下部ヘッドを模擬している実験容器に流し込んだ。実験容器内の初期水位は30cmである。実験後に冷却固化した酸化アルミニウムを観察し、表面が非常に粗いこと、クラックが形成されていること、等を確認した。また、溶融物及び実験容器壁の温度履歴測定結果は、実験容器内で固化した酸化アルミニウムと容器壁との間に水が浸入した可能性を示唆した。実験容器壁の温度減少速度から、容器内壁における熱流速は概ね300~400kW/mと評価された。
上塚 寛; 永瀬 文久; 鈴木 敏夫*
JAERI-Research 95-084, 36 Pages, 1995/11
TMI-2デブリの放射化学的性質等を評価する基礎データを得るために、ペレット破片を含む8個のデブリサンプルに対するガンマ線分析を行った。計算コードに依拠しない評価手法により、デブリ中の燃料成分の燃焼度(3030~3600MWd/t)、Cs残留率(0.4~6%)、UO含有率(64.5~83.3wt%)を求めた。また、この評価法により、INELで得られたガンマ線分析データベースを再評価し、サンプル採取位置毎のFP放出特性や燃焼度分布を調べた。その結果、溶融プール領域から採取されたデブリと下部ヘッド上にリロケートしたデブリの特性は類似していることがわかった。以上で得られた知見とORIGENコードによる計算値から下部ヘッド上に堆積したデブリの発熱量を評価した。
石神 努
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(7), p.691 - 701, 1995/07
被引用回数:2 パーセンタイル:28.65(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究所では、原子力発電プラントで万一の事故が発生した時の緊急時に、国の緊急技術助言組織に対して有用な情報を提供することにより同組織の活動を支援する緊急技術助言対応システム(COSTA)の開発を進めている。COSTAの重要な機能の1つに、緊急時にプラントから通報される事故情報に基づくプラント状態把握と事象進展予測がある。本稿では、この機能についての性能評価を行うことを目的に、COSTAをTMI-2事故に適用した。COSTAへの入力となる事故情報の量、内容、および通報間隔を変化させたケーススタディを行い、これらが予測結果に及ぼす影響を評価した。その結果、事故の内容に即した事故情報が適度の時間間隔で通報される場合、COSTAの予測結果は妥当であることがわかった。
鬼沢 邦雄; 橋本 和一郎
OECD Documents, Three Mile Island Reactor Pressure Vessel Investigation Project; Achievements and, 0, p.322 - 334, 1995/00
有限要素法コードによりTMI-2圧力容器下部ヘッドを対象とした熱応力解析を行った。解析の目的は、TMI-2事故時に下部ヘッド内表面被覆に生じた亀裂の原因を推定すること、及び下部ヘッドそのものにおける損傷の程度を評価することである。3次元解析により、比均一な温度分布をもつ溶融物の影響によって下部ヘッドに局所的な引張り応力が生じ、これが亀裂をもたらす可能性があることを明らかにした。また、2次元クリープ解析により、下部ヘッドの損傷の程度を評価した。これらの解析結果をTMI-VIP計画で得られた知見と比較した。
丸山 結; 山野 憲洋; 工藤 保; 森山 清史; 杉本 純
Proc., Seminar on the Vapor Explosions in Nuclear Power Safety,Kanzanji 1995, 0, p.54 - 69, 1995/00
1979年米国ペンシルベニア州で発生したTMI-2事故では、炉心の約45%が溶融し、その内の約19トンが下部プレナム領域に移行したと推定されている。本講演では、TMI-2下部ヘッドの損傷状態、下部ヘッド鋼材の安全裕度、溶融炉心の移行シナリオ等と評価することを目的に実施されたTMI-VIP計画から得られた知見と併せて、原研の事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画で予定されている実験の概要を報告する。ALPHA計画の炉内デブリ冷却性実験(スコーピング実験)ではAlOを溶融炉心模擬物として用いる。スケーリング解析から下部ヘッド試験体の直径を50~70cm、AlOの重量を~100kgと定めた。この実験では溶融物の温度等を計測するとともに、固化した溶融炉心模擬物の性状を計測する。
塚田 隆; 鈴木 雅秀; 川崎 了
Proceedings of Three Mile Island Reactor Pressure Vessel Investigation Project Open Forum, p.151 - 163, 1994/00
TMI-2炉圧力容器下部ヘッドの事故時到達温度の推定は、TMI容器検査計画(TMI-VIP)における主目的のひとつである。この計画では主として圧力容器鋼A533B母材の金属組織を調べることにより到達温度の評価が行われている。しかし、さらに圧力容器オーバーレイクラッド鋼(308ステンレス)についても微細組織を検討することにより温度推定を行うことが可能である。本報では、まず308ステンレス鋼及び計装ノズルに使用されているインコネル600合金について金属組織と温度の関係を検討し、次にアーカイブ材であるMidland炉容器鋼を供試材とした熱処理及び金属組織検査の結果を述べた。アーカイブ材試験により、到達温度推定に母材とクラッドの界面付近の組織変化、-フェライトの析出状態等情報が有用であることを示した。また、これらの検討及び試験結果に基づき、TMI-2炉容器鋼の検査から得られているオーバーレイ組織の検討を行い、それらの到達温度の推定を行った。
上塚 寛; 永瀬 文久
Proceedings of Three Mile Island Reactor Pressure Vessel Investigation Project Open Forum, p.269 - 280, 1994/00
TMI-2圧力容器下部ヘッド上から採取されたデブリ(コンパニオンサンプル)のうち、10個のサンプルに対する分析試験が原研で行われた。サンプルの平均密度は約7.7g/cmであった。ミクロ観察とEPMAの結果により、デブリはミクロ的には均一でないこと、おもに燃料構成材料からなり少量の炉心構造材を含むことが示された。また、線分析の結果、デブリ中の燃料成分の燃焼度(3,3003,600MWd/t)、Csの残留率(0.45.9%)等が求められた。事故解析上、デブリの熱特性は重要であるために、デブリに似た化学組成と気孔率を持つ模擬燃料デブリ(SIMDEBRIS)を作製し、溶融温度と熱伝導率を測定した。SIMDEBRISの熱伝導率は、室温では高密度UOの30%程度であるが、1573Kでは同等である。
TMI-2の事故調査翻訳グループ
JAERI-M 93-111, 464 Pages, 1993/06
本報告書は、1989年8月から12月に刊行された4分冊の米国原子力学会ニュークリア・テクノロジ誌TMI特集号(Vol.87)の論文を翻訳し紹介するものである。これらの特集号には、スリーマイル島2号機(TMI-2)事故の全容について最終的な総括が示されており、10年間に亘る膨大な活動を通して得られた、事故調査研究と復旧活動に関する成果と教訓が集約されている。これらは我国における原子炉安全性向上にも重要な貢献をするものと考え、米国原子力学会の許可を得て翻訳・刊行することにしたものである。本報告書の構成は、2章に示す全訳の論文等33件、3章に示す抄録のみの論文紹介86件および訳者の2人が記述したその後のTMI関連研究の動向(4章)から成り、翻訳部分は2章と3章である。全訳部分は原典全頁の約1/4に相当する分量であり、上記特集号4分冊から訳者が重要と考える論文を選んだものである。
古田 照夫
核燃料, (17), p.17_44 - 17_45, 1992/06
日本原子力学会の核燃料研究者を対象に当研究室の活動状況を紹介する。即ち、軽水炉燃料の高燃焼度時及び負荷追従時の健全性研究として実施しているJMTR照射試験、照射後試験等、ハルデン原子炉計画による国際協力研究及び燃料ふるまい解析コード開発についての簡単な成果と今後の予定である。また、炉心損傷時の燃料ふるまいとして、TMI-2号炉のデブリ分析試験を紹介する。
日高 昭秀; 杉本 純; 早田 邦久
EUR-14039-EN, p.28 - 36, 1992/00
軽水炉のシビアアクシデントを早期に終息させるためのアクシデントマネージメントの一つとして、損傷した炉心を冠水させ冷却する手法がある。しかしながら、損傷した炉心を冠水すると、金属-水反応によって水素が発生すると共に、被覆管温度の上昇とそれに伴う燃料溶融の可能性がある。このため日本原子力研究所は、炉心損傷詳細解析コードSCDAPを用いて、TMI-2事故において事故後100分174分の間に再冠水が行われた場合を想定し、再冠水開始時刻、再冠水速度、再冠水前の炉心の水蒸気流量をパラメータとした感度解析を実施し、再冠水による水素発生量と炉心損傷への影響を評価した。解析の結果、以下の結論が得られた。(1)損傷炉心の再冠水により付加的な水素が発生する。(2)再冠水中の水素発生量は、未酸化Zrの量及び再冠水開始時刻に影響される。(3)一般に再冠水は早期に行われる程、炉心の損傷は軽減され水素発生量は少ない。
橋本 和一郎; 鬼沢 邦雄; 栗原 良一; 川崎 了; 早田 邦久
Int. J. Press. Vessels Piping, 52, p.25 - 40, 1992/00
被引用回数:3 パーセンタイル:53.87(Engineering, Multidisciplinary)TMI-2号機圧力容器下部ヘッドのステンレスライナーに生じた亀裂の要因を解明するため、有限要素法解析コードABAQUSを用いた解析を行った。解析では、TMI-2事故時に約20トンの炉心溶融物が下部ヘッドに堆積した時点から7200秒間を対象とし、溶融物の冷却がある場合と無い場合について解析を行った。その結果、均一デブリ層に対し冷却がある場合、下部ヘッド貫通ノズルの溶接部近傍に最大応力を生じた。この結果は、TMI-2号機の下部ヘッド検査で明らかになった亀裂の位置と一致した。
LOFT専門部会
日本原子力学会誌, 33(12), p.1112 - 1120, 1991/12
OECD LOFT計画は、熱出力50MWのPWRを用いて、LOCAおよび運転時の異常な過渡変化に関する総合実験を行い、それらの事故および異常時における原子炉プラントの熱水力挙動、ECCSの有効性、さらにはFPの移行挙動を明らかにすることを目的として実施された。OECD LOFT計画では、熱水力実験6回とFP移行実験2回の合計8実験が行われた。熱水力実験の結果から、ECCSの有効性および現行の安全基準の妥当性が改めて、確認された。一方、最後に行われたLP-FP-2実験は、LPIS配管の破断を含む極めて苛酷な多重故障によるシビアアクシデントを模擬し、燃料集合体の損傷過程並びにFP移行に関するデータを提供した。本稿は、OECD/LOFT計画の成果と、国内での関連研究の概要をとりまとめたものである。
橋本 和一郎; 早田 邦久
JAERI-M 91-193, 21 Pages, 1991/10
TMI-2事故を標準問題として扱い、これを各国で開発されているシビアアクシデント解析コードで解析し、コード間の比較・評価を行うためのタスクグループがOECD/NEA/CSNIに設置された。原研は、このタスクグループに参加し、THALES-PM1/TMIコードを用いて解析を行った。この解析の目的は、実炉の事故進展に対する同コードの適用性を確認することである。本報告は、原研で行ったTMI-2標準問題の最終結果をまとめたものである。
橋本 和一郎; 鬼沢 邦雄; 栗原 良一; 川崎 了; 早田 邦久; 木村 裕明*
Transactions of the 11th Int. Conf. on Structural Mechanics in Reactor Technology,Vol. F, p.123 - 128, 1991/08
構造解析コードABAQUSを用いてTMI-2事故時の圧力容器下部ヘッドを対象とした熱応答解析を行なった。この解析の目的は、TMI-2事故によって原子炉圧力容器下部ヘッドのステンレス製ライナーに生じた亀裂の発生要因を解明することである。ここでは、下部ヘッドに堆積した約20トンの炉心溶融物の下部ヘッドに対する熱的影響を2次元軸対称モデルを用いて解析した。解析の結果、下部ヘッドに堆積した均質のUO層が炉内の冷却材により急冷された場合に下部ヘッド表面付近に最大の引張り応力が生じることが分かった。また下部ヘッド貫通ノズルの溶接部近傍に最大応力が生じたが、これは下部ヘッド上の亀裂がノズル近傍に生じていた事実と一致する。
日高 昭秀; 杉本 純; 松本 英一*; 早田 邦久
JAERI-M 89-213, 87 Pages, 1989/12
軽水炉のシビアアクシデントを早期に終息させるためには、破損した炉心を早期に冠水させ冷却することが重要である。しかしながら損傷した炉心を冷却水で冠水すると酸化されていないZrと新たに供給される水蒸気が反応し、水素が発生するとともに被覆管温度が上昇する可能性がある。そこで原研では、SCDAPコードを用いて、TMI-2事故において事故後100~174分の間に再冠水が行われた場合を想定し、再冠水による水素発生と炉心損傷への影響を評価することを目的とした感度解析を行った。感度解析の結果、以下の結果が得られた。1)再冠水直前の炉心が水蒸気枯渇状態にあり、炉心温度が1500K前後で再冠水速度が遅い場合には、再冠水中にZr-水反応が急速に進行し水素発生量が増大する可能性がある。2)シビアアクシデントの事故管理を行う場合には、水素発生量と再冠水開始時刻及び再冠水速度との関係を考慮する必要がある。
橋本 和一郎; 早田 邦久; 関谷 秀郎*
Nuclear Technology, 87, p.1058 - 1066, 1989/12
TMI-2事故の初期事象(0~174分)について、THALES-PM1/TMIコードを用いた熱水力挙動解析を行った。本コードは原研で開発されたTHALES-PM1コードの熱伝達モデル及びポンプモデルをTMI-2事故解析のために改良したコードである。解析に際しては、OECD/NEA/CSNIが実施しているTMI-2標準問題データベースを用いて入力データを作成した。
早田 邦久
日本原子力学会誌, 31(8), p.879 - 885, 1989/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)TMI-2事故を契機にシビアアクシデントに関する検討が各国で実施されるようになり、各国の実情に応じた対策が取られているといえる。特にチェルノブイリ事故後は、世界的にシビアアクシデントについての検討が行われるようになっている。このことは、原子炉の持つ混在的リスクを認識するとともに、より安全な原子炉を目指す仮定の一つとして捕らえることができる。わが国においては、チェルノブイリ事故の検討結果からは、心に銘ずべき7項目として、マンマシンインタフェイス、シビアアクシデント研究の推進等が挙げられており、PSAを中心に、研究が実施されている。今後、わが国においても、これらの成果が活かされ、原子炉の安全裕度が明らかにされよう。